「創業・再挑戦計画書」の書き方

「創業・再挑戦計画書」とは

創業資金の融資を信用保証協会へ申し込みする際には、
「創業・再挑戦計画書の提出」を求められます。
様式の名称に「創業」に加え「再挑戦」が付いているのは、
この書式が信用保証協会の「再挑戦支援保証」にも使われる為です。
なお、都道府県等の制度融資の場合は、「創業・再挑戦計画書」の代わりに「創業等支援資金に係る創業計画書」等の名称が用いられている場合もありますが、内容は同じもののようです。

以下では、信用保証協会方式の信用保証協会の様式に従い、書き方を説明します

「創業・再挑戦計画書」は、以下の12の項目からできています。

具体的な事実を書けば良い項目が多いですが、その中で
「開発動機・目的」「開業に必要な知識、技術、ノウハウの習得」の欄の記入が大切です。
限られたスペースではとても書ききれないないようですので、 詳細は別紙で用意することが大切です。ただし、だらだらとたくさん羅列するだけではなく、簡潔にまとめて表示するとしたら、どのように表現できるか？も大切です。
チャレンジしてみる意義は大きいと思います。
これらの項目は、最初に書いて、途中で見直し、最後に仕上げでもう一度見直すと良いでしょう。

以下のような視点が大切です
・自社の強み、他との差別化要因は何か
・どんな顧客（ターゲット）に、何を提供して行くか？
・上記の理由（社会的意義・地域的意義と自らが行う理由）
・品質や安全性等、確保しなければならない点に関する配慮も忘れずに
・具体的な商品、サービスの内容や仕組を示す資料等を別紙で用意する
・創業計画は発展性や将来の可能性を強調するような場合も多いが、融資では安全税・確実性の方がより重視されます。 ターゲットとする市場の有望性と安定性の両方を根拠を持って示す
（必要であれば統計等調査）
・自らの経験については幅広い見地から書くこと（異業種などで経験なしのような記述はNG）
・事業計画の評価や融資の可否評価は、１）計画の妥当性と、２）その計画を実行する経営者としての人物評価の２点が重視されます。これらの項目と面接が、人物評価（能力とやる気）の為の重要な根拠となります。
・簡潔にまとめることと、多くのバックデータが理想（表紙は簡潔明瞭、その根拠を求められたら十分な資料ありが良い。量（もちろん内容も大切ですが）は、「やる気」を表現する手段にもなる）

ここで言う「運転資金」とは、事業が軌道に乗るまでにかかる「運転資金」のことを言います。
事業が軌道に乗った状態とは、月々の収入で月々の運転資金が賄えるようになった状態のことを言います。つまり、事業が軌道に乗った状態では、運転資金を用意する必要はありませんが、そうなるまでの資金の赤字の部分を「運転資金」として計上します。

具体的な作成手順としては、先に「4　設備計画」と「７ 収支計画」を作成した後の方が、
「運転資金計画」は作成し易いのではないかと思います。

その場合の手順は以下の通りです；
まず、開業にあたっての「4　設備計画」 を作成し、同時に設備投資以外の開業にかかる費用（例：会社設立費用、広告宣伝費、人材募集費、ホームページ開設費用等）を「運転資金１」として把握しておきます。次に、 「７ 収支計画」作成の為に月次損益計画書を作成します。月次損益計画書を根拠に事業が軌道に乗るまでの間にいくらのお金が不足するかを計算します。（その際には、収入と支出の期間のズレがあればその分の金額も見込みます）この不足する金額を「運転資金2」とし、先に計上した「運転資金１」＋「運転資金2」＝「運転資金」とします。

開業にあたって必要な不動産、設備、器具、備品の金額を計上します。
正式な申込の際には、領収証や見積書の添付を求められますので、 用意しておくことが必要です。

開業する為には、借入が絶対条件のような場合は、先に不動産を確保してと言うようにはいきませんので、見積書入手のタイミングと借入申請のタイミングを十分注意して計画的に行うことが大切です。

「3 運転資金計画」のところでも書きましたように、事業が軌道に乗った後の運転資金は事業の中で賄うと言う考えで、それまでの運転資金（＝開業時に特別にかかった運転資金＋事業が軌道に乗るまでの運転資金）と設備投資資金の合計金額が事業に必要な総資金と考えます。
この資金合計を自己資金と借入金で用意する必要があるわけです。

「5 必要資金合計」＝「自己資金」＋「借入金」で、資金調達します。
つまり、ここの「借入金」が、融資申込金額になります。
なお、会社の場合は、自己資金＝資本金となるのが原則です。
※資本金が本当に自己資金であるかは厳密に審査されますので、いわゆる「見せ金」はしてはいけません（自己資金の査定が減額されるだけではなく、融資そのものが認められません）。

上記に書きましたように、 「3 運転資金計画」「5 必要資金合計」「6 資金調達計画」の前に、収支計画は作成した方が良いでしょう。

収支計画は、月別に計算根拠を明らかにしながら、具体的な明細を挙げ、積み上げ式で詳細に作成する必要があります。 特に、売上と仕入、人件費などの金額の大きな項目の計画作成には、しっかりとした根拠を持って説明できるように準備しましょう。

なお、当り前のことですが、借入金の返済金は利益から払っていかなければなりません。
従って、当初は赤字であっても良いのですが、一定期間経過後は、
最低、「利益の額」＞「返済の額」の収支計画が実行できなければ、借入はできません。

売上数字の算出の仕方には、業界により様々な方法がありますが、一般的には「物理的な売上数値」と「営業的な売上数値」の両面から考えることが大切です。
「物理的な売上数値」とは、店舗の面積や席の数、設備の生産能力、人員あたりの生産量、回転率、納期等、供給側からの制約条件から売上数字を算出する方法です。
業界平均数値等統計数字を参考とすることも役に立ちます。
一方「営業的な売上数値」とは、自社の営業力で受注が得られる金額から売上数字を算出する方法です。具体的な客先名や顧客層を分類した上で具体的な数字計画を作成します。
また、営業的な売上数値は広告宣伝費や販売促進費や営業人件費等との経費との兼ね合いも考えることが必要です。
「物理的な売上数値」と「営業的売上数値」の小さい方を売上計画とするのが妥当でしょう。

8 販売・仕入先

9 借入金等状況

10 自己資金算定額

11 その他

12 （再挑戦保証の申込みの方の記入欄）

「創業・再挑戦計画書」の書き方まとめ