代理店契約書とは
代理店契約書は、メーカーなどが総販売元が、販売や流通、サービスなどの対お客さん向などの自社の業務の機能の一部を他者へ依頼するための契約書です。販売だけを依頼するのであれば「販売代理店契約書」、製品の取付工事などを依頼するのであれば「施工代理店契約書」、サービスを依頼するのであれば「サービス代理店契約書」などの名称を用いることもできます。
また、海外のメーカーの商品をそのメーカーの代理として、例えば日本で独占的に販売するような一切の権利を得るような契約書のような場合「総代理店契約書」と言います。
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「代理店契約書」に関連して、海外の会社と契約をする際には注意が必要です。
代理店契約を直訳して、「Agent(代理店)契約」とすると、法律上の代理をする契約=販売元の代理として顧客との取引を行い、報酬(コミッション)を得る(日本で言うところの保険の代理店のような)取引形態のことを意味します。
多くの場合、「Distributor(販売店)契約」 (代理店が商品などを買い取り、顧客へ販売する取引形態)に該当する場合の方が多いと言えましょう。
代理店契約書作成のポイント
以下では、代理店契約書作成の為の重要ポイントを公開しています。
代理権の内容と範囲を明確化しよう
(1)代理店にはどのような権利を与えるのか?
=代理店の側からすればどのような権利を得ることができるのか?
※「権利の内容と範囲」「して良いことと、してはいけない」ことを明確にします。
(2)上記の見返りに代理店にはどのような義務を課すのか?
=代理店の側からすればどのような義務を果たさなければならないのか?
「権利金や保証金」「最低販売数量」「表示義務」「報告義務」など
代理店契約書作成上の3つの法的重要事項
(1)独占禁止法
依頼元と代理店とは別個の法人(または個人)ですので、代理店の営業上の権利を独占禁止法などの法律に違反して(販売価格の強要など)不当に侵すことはできませんので、代理店契約書での契約条項では、注意が必要です。
(2)第三者との関係
法的には、対お客さんなどの第三者に対する代理店の行為が、依頼元の責任に及ぶ場合がありますので、お客さんなどの第三者が代理店を依頼元本人と混同しないような措置を代理店契約で取り決めておくことが大切です。
(3)秘密保持と営業制限
依頼元側からすれば、代理店に対して、営業情報や技術情報などの秘密情報やノウハウを代理店に対して開示することになりますので、代理店に秘密保持と目的外使用を禁止することを代理店契約書で明確にしておくことが大切です。一方、代理店側からすれば、自社の自由な営業活動を必要以上に制限されないようにしたいものです。
代理店契約書のひな形を使う場合の注意事項
代理店契約書のひな形はネットや書籍で容易に見つけることができますが、
上記に書きましたように、代理店契約書は契約形態の種類が非常に多い契約書ですので、ひな形の利用にあたっては自身の行おうとしている契約の中味との整合性チェックが重要です。
(例)
「エージェント」(Agent)か「ディストリビューター」(Distributor)か?
参考とする代理店契約書のひな形は、売手側買手側のどちらが作成したものか?
売手側作成の代理店契約書ひな形は、代理権の範囲をできるだけ限定すると共に、
販売数量(ノルマ)や保証金など、買手の義務を多く課す内容になっています。
一方、買手側作成の代理店契約書ひな形は、代理権の範囲をできるだけ広く規定し、
買手の義務はできるだけ少なくする為に全体の条項も少なくなる傾向があります。
ひな形にある条項を忠実にコピーした為に、かえって、自身の活動の範囲を狭めるような恐れ
がありますので注意しましょう。
代理店契約書のイメージと関連しそうな契約書
当事務所のクライアントより、「代理店契約書を作成したい」との依頼を頂き、打合せをした結果、最終的には、「代理店契約書」ではなく、他の名称の契約書を作成した。という場合はよくあります。それだけ「代理店契約書」の名前がポピュラーで人によって包括する内容が広範囲に渡る証でしょう。以下は、代理店契約書のイメージと関連しそうな契約書の例です。
特約店契約書
「特約店契約書」という言葉を文字通り捉えると、「特別な契約を結んだ店(事業者)」という意味にすぎませんので、どのような契約を結ぶのかにより契約書の意味が決まります。
一般的に、企業が販売網やサービス網の構築する際に、代理店や特約店など(名称は様々)の制度を設けて、権利と義務の内容に差異を設けるのが一般的です。
従って、契約書の中身を考える以前に自社の販売などの政策、しくみを考えることが大切です。
販売委託契約書、○○業務委託契約書
代理店契約書や特約店契約書は、独立した法人(または個人)に、特別な権利を与えて、代わりに販売や施工、サービスなどの業務を依頼する契約書です。
対して、あくまで、依頼元の責任でその業務の一部を請負ような契約書は、販売委託契約書(例:あるスペースに商品を置かしてもらう。紹介を依頼するなど。)や○○業務委託契約書(〇〇の部分に委託する業務の名称が入る)という名称が使われます。
※業務委託契約書の詳細はこちらでご確認ください。
販売提携契約書、○○(業務)提携契約書、業務提携契約書
代理店契約書や特約店契約書は、依頼元→代理店・特約店と、主として一方的な関係の契約ですが、より、依頼先からも積極的に販売その他業務のノウハウやアイデア、経営資源などを使ってもらい、提携して事業を行っていこうと言う主旨の契約書が販売提携契約書や業務提携契約書です。「対等で、特別な関係」を創出したい場合に適した契約書です。販売提携契約書は、文字通り、販売に関した提携の為の契約書ですが、○○(業務)提携契約書は、〇〇の部分に提携する業務の名称を入れると契約書の名称になりますが、提携の範囲が広範囲になる場合は、単に「業務提携契約書」が適している場合もあります。
※販売提携契約書、業務提携契約書の作成の詳細はこちらでご確認ください。
フランチャイズ契約書
代理店契約書の進化(=より関係を強化したの意味です)した方向には、上記のような「販売提携契約書・業務提携契約書」と、もう一方で、「フランチャイズ契約書」があります。
フランチャイズ契約書は、本部(フランチャイザー)が、自社の商品やサービスそのものだけでなく、その供給から販売、サービスまで一貫したノウハウをパッケージとして販売し、
加盟店(フランチャイジー)が、その権利に対する対価を払う契約に関する契約書です。
直営→代理店→フランチャイズ
と業務の発展段階で、しくみを作っていく場合もあります。
(PR)代理店契約書などの契約書の作成、活用のご依頼をお待ちしています
当事務所では、「代理店契約書」をはじめ、ビジネス上の「新しい関係を創造する」契約書・規約の作成を専門としています。
お客様の思い・状況に合わせた文書の作成と活用法を支援します。契約書起案以前の自社や相手との関係の「しくみ作り」のアドバイスも行っています。
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