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        起業リスクの考え方

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会社設立、独立、起業、開業と新会社経営
第31号
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こんにちは。行政書士の井藤です。
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今回は、「起業リスクの考え方」と題して、起業のリスクに対する心構えについて、考えてみたいと思います。

◇第31号のメニューはこちらです
(1)「起業リスクの考え方」
(2)編集後記

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(1)「起業リスクの考え方」

■新設会社の70%は3年以内に消滅
起業にはリスクはつきものです。
例えば、「新設会社の70%は3年以内に消滅」しているとのことです。
3年間という数字は、新規事業が「本格的な起動に乗る」までのひとつの目安の期間(もちろんもっと短期間で軌道に乗る会社、
もっと短期間に消滅する会社もありますが)と考えることができるでしょう。

「本格的な軌道に乗る」とは、起業を離陸と例えたならば、一定期間の間に上昇飛行を続け、安定飛行状態に入ることを言います。
もちろん、安定飛行に入ったからと言って、その後事業が永遠に安定している訳ではなく、上昇したり、下降したりを繰り返し、
事業は存続して行くものです。

しかしながら、「約70%の会社は、離陸はしたものの十分上昇できずに、安定飛行の状態に入る以前に下降してしまった。」のです。

■廃業リスク
従って、とりあえず起業はできたとしても、その後、如何に存続するか。
どうしたら事業が軌道に乗る状態まで持って行かれるかが問題となりますります。
つまり、起業を計画する段階から、「どうしたら廃業せざるを得なくなってしまうのか。」のリスクを考えることが重要な意味を持ちます。

実際にどんな時点で廃業を決断するのかは、人により判断はまちまちだと思います。
もう少しあきらめずに頑張れば、事業は存続できたかも知れません。
しかし、逆に、頑張りすぎてしまった為、全てを失い、再起が難しい状態にまで陥ってしまった人もいます。
したがって、起業の当初から、頑張るのは良いのですが、どこまで頑張るのか。
ここまでやってダメだったらあきらめる。あるいは方向転換。
いわゆる「損切り」の状態をある程度考慮に入れておいた方が、もしものときの痛手も限定的になり、再挑戦がし易いと言えましょう。

■廃業リスクを考慮した経済的指標
決断の最後は、本人の勘と度胸の世界かもしれません。
しかし、その勘と度胸を働かせる前の状況判断のため、経済的指標を持つことは廃業リスク低減に役立つと思います。
「廃業リスクを考慮した経済的指標」とは、最も簡単な経理的知識を持つことです。

経理的に、「とりあえず軌道に乗る状態」とは、月次決算ベースで黒字となった状態です。
但し、帳簿上の黒字も大切ですが、それ以上にキャッシュ上の黒字が大切です。
つまり、日常的に、入って来るお金の方が出て行くお金よりも多ければ、その事業は当面存続できるからです。
月次決算ベースで赤字の場合は、毎月損が貯まって行くわけですから、
その損が負担できないところまで行った時点で廃業をせざるを得なくなってしまいます。
ここで、赤字のまま、あまりにも頑張りし過ぎる、痛手が大きくなりすぎるリスクがありますので、注意が必要です。
大切なのは、赤字のまま頑張るのではなく、赤字を黒字にすることに頑張るべきです。

■赤字を黒字にする為の考え方
月次決算の黒字化を実現するためには、売上を拡大することが大切、
よって、販売促進計画を実行する。と考えるのは当前のことですが、
売上の拡大を「攻めの経営」としたならば、「守りの経営」というべき「利益の確保」も大切です。
利益を考えるときは、まず粗利(売上利益)を考えましょう。

「当月の粗利―当月の固定費(絶対に払わなければならない費用)」 を黒字とすることが、事業存続のための第一条件です。
逆にこの状態ができていれば、変動費をコントロールすることで、月次決算を黒字化できます。
(粗利赤字が継続するようでは早急にその事業は廃止すべきです)

「売上−売上原価−経費=利益」と言う、利益を結果として考えるのではなく、
「利益−売上利益−固定費=変動費」と言うように、
「先に利益を決め、変動費をコントルールする」と言う考え方を当初のうちから行っていれば、事業は黒字化できます。

変動費とは、役員報酬や人件費、経費などのうち、コントロール可能なものを言います。
このような変動費の幅を大きく持つことができるような状態にしておくことは、機動的な対策を持ち、経営リスク回避の有効な手段です。

もっとも、実際には、「利益を決めてから変動費を全て決める」と言うような受身的な経営を全面的に行うことは現実的ではないかも知れません。
しかし、「非常事態」のときの臨時対策として、あるいは、能動的な事業計画の中にもある程度、
このような利益を優先した変動的な計画作成をすることでリスク削減を図ることができます。
例えば、事業計画を複数作り、当初はプランAで行くが、損益の状況で、プランBに切り換える
と言ったオプション付きの計画作成などにも応用できます。

(2)編集後記
今回は、「起業リスクの考え方」について取り上げました。
「起業」することよりも、むしろ「存続させること」の方が大変。
と言われますが、その為に、「廃業リスク」と言う考え方を挙げ、いかに「廃業リスク」を低減させるかについて、述べました。
「とにかく頑張って、一日も早く軌道に乗せるため、販売促進。」
は、大切ですが、同時に、当初から、「黒字化を作って行く」考え方があることを紹介しました。

また、本編では、経済的な数字のみを取扱ましたが、「廃業リスク」には、経済的なリスクの他にも、
人の問題や商品やサービスの問題、市場の問題等、も考えられます。
とりわけ、人の問題が解決すれば全てが解決できるのかも知れませんが、それだけ、人の問題も大切です。

最後になりましたが、皆様の、ビジネス、健康、生活が豊かなものとなりますことを祈っております。

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発行元  行政書士井藤事務所  井藤真生
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