2人以上で共同で経営を行う場合は、当初から組織経営を意識することで上手くいきます。
■共同経営に関する総合的な情報はこちらをご覧下さい。
「共同出資」とは、2人以上が、新規事業に対して、資本を提供し合うことを言います。
通常は現金の出資をイメージしますが、モノやノウハウなど現物出資も含みます。
「共同出資」は、あくまで、出資を共同で行うことを言っていますので、
「共同出資」をしたからと言って、必ずしも、共同で経営するか否かは別の問題です。
一方、「共同経営」とは、「2人以上が、共同で行う経営」のことを言います。
「共同経営」には、普通は「共同出資」が伴うのが一般的です。
なお、会社の議決権(経営の意思を決定する権利)は、原則、出資割合に応じて持つものですので、
「共同出資」≒「共同に経営権を持つこと」と考えておくことが大切です。
「人が2人以上集まれば組織ができる」と言いますが、
共同経営を上手に行うためには、組織経営を意識することが大切です。
できれば、当社より、会社のような組織を設立して、
その運営ルールの下で、共同経営を行なっていくことが理想だと思いますが、
個人経営の場合も、任意団体のような組織を意識した運営を行うことが大切です。
「昔共同経営で会社を始めたが、最近になって相手側からクビを通告された」
「共同経営の相手から株を買い取り辞めさせたいのだが・・・」
・・・・等と、言った相談を受けるケースが多くあります。
そんなとき、とても大切なのが、「出資比率に伴う経営権の問題」です。
株式会社の一般的な決議は過半数で決まります
(例えば、誰を会社の取締役にするか、取締役の報酬はいくらにするか等)。
従って、株式の過半数を持つことが実質的に会社の決定権を持つことになります。
また会社法で決められている特別決議については2/3以上での議決で決まります
(例えば、定款変更、事業譲渡等、合併、解散等)
従って、出資比率と決定権の関係を整理すると以下のようになります
1)100%・・・・全て一人で決められる
2)66.7%(2/3)以上・・実質的には一人で決められる
(但し、他の株主に少数株主としての権利あり。例えば、帳簿の閲覧、株の買取請求など)
3)50.1%以上(過半数)・・普通決議は一人で決められるが、定款変更など特別決議は他の株主の同意が必要
4)33.4%(1/3)以上・・決定権はないが、特別決議を単独で反対できる(2)66.7%以上の場合の反対の権利)
5)33.4%未満・・単独では決定権はない。但し、他の株主と共同で、過半数や2/3を超えることができれば、決定権を持つ。
(株主が3名以上で、単独で過半数や2/3以上所有する人がいない場合に有効)
このような、出資比率の意味を理解した上で、「共同経営」の出資比率を決めることが大切です。
「共同経営」には、大きく分けて3つの形態があります。
1)対等な関係による「共同経営」
出資比率も折半など、共同経営者がほぼ対等な関係の文字通りの共同経営」です。
共同経営者が各自代表権を持つ会社等です。
出資比率が異なっていても3名以上の出資者がいるような場合で、
第1位株主の出資割合が50%以下のような場合にも該当します。
2)上下関係のある「共同経営」
例えば出資比率は8:2など、社長と専務など、オーナーとパートナーのような関係の「共同経営」です。
株主である上司と部下の関係になります。
3)出資関係のない「共同経営」
オーナーがスポンサーとして、大部分を出資して、パートナーに経営を任せる。
あるいは、特別ノウハウのある人物をパートナーとして招いて経営を行う。と言った例です。
パートナーを代表取締役として経営を任せたとしても、最終的にオーナーが人事権を掌握しておりますので、
オーナーの意思で解任等を行うことができます。
「共同経営」により、2人以上の人が、異なる能力や人脈などを持ち寄ること、互いに資金を準備すること。
で、1人ではできないことが可能となります。 事業の幅と深みを広げることが可能となります。
例えば、経営には、マネジメント、マーケティング、イノベーションが大切ですが、
それらを全て一人で行うには能力的に限界があるので、「共同経営」により分担を行うことができます。
あるいは、「共同経営」により、商品構成や対象顧客を拡大させる効果がある場合もあります。
「共同経営」のメリットにはリスクが伴います。
他人といっしょに仕事をすることによる「不満」「意見の対立」「仲互い」「離散」等です。
逆に、互いに相手を頼り過ぎて、リーダーシップの欠如のリスクも考えられます。
特に、1)対等な関係による「共同経営」の場合には、代表者同士の意見の対立や方針の違いなどでもめたり、
逆に、責任体制の不明確さが問題となるリスクが考えられます。
また、2)上下関係のある「共同経営」の場合には、「共同経営者」と言っても、現実的には、代表者とその他の人では全く、
世間の対応や責任の度合いが異なりますので、立場の違いからパートナーに対する「不満」や「不平」になりがちです。
3)出資関係のない「共同経営」の場合には、最終的にはオーナーに取締役に対する解任権がありますが、
就任期間中に解任した場合は損害賠償を負わなければならない等のリスクがあります。
上記の「共同経営」のメリットを活かし、「共同経営」のリスクを軽減して、
「共同経営」を上手に行っていくことが大切です。
1)相手を選ぶこと
友達関係だけで相手を選ぶのは間違っています。
互いに組むメリットを冷静に分析して判断すべきです。
意見が全く違う人物同士では「共同経営」はできないでしょうが、
逆に2人の意見が全くいっしょであるのであれば1人はいらないとも考えれます。
「共同経営」には、互いの違いと能力を尊重し合う、絶妙なバランスが求められます。
2)話し合い意思を確認すること(コミュニケーションが大切)
「共同経営」の起業計画の際には、夢の部分では多くの一致があるかもしれませんが、
その実現のための手段の部分、
もし、うまくいかなかったときの対処の心構えなど、
現実的な問題を冷静に話し合うことが大切です。
また、「共同経営」の開始後も互いにコミュニケーションを大切にすることです。
3)覚書や共同経営契約書や共同主旨契約書などの文書にまとめましょう
出資の金額、役職・肩書き、職務分掌(分担分野)・責任と権限、役員報酬の決め方、
利益の分配の仕方、経理のルール、報告事項に関するルール、意見調整のルール、契約解除のルールなど
もちろん、最初から全てが決めた通りにはならないかもしれませんが
問題が起きた際にはどのように対処して解決したら良いかの道筋を明確としておくべきです。
「共同経営」は組織経営で
「共同経営」を成功させるには、パートナーとの取り決め、共通のルールを作り、
そのルールに基づいて経営を行っていくことです。
このことは、会社設立当時から、組織経営を実践して行くことに近いと言うこともできます。
組織のルールに基づいて経営を行っていくことは、
将来、人材を採用したり、事業を拡大して行く際にも、大切なことになって来るでしょう。
「共同経営」の場合は、通常の起業以上にその準備に時間とお金をかけよう
「共同経営」の場合は、一人での起業の場合に比べて、可能性も大きいがリスクも大きいので、
より、計画的に、事前の準備をいかに上手に行ったが大切です。
準備万端、計画的な「「共同経営」を行いましょう。