起業、会社設立、事業計画書、契約書、社内規程、インターネット、法務、中小企業支援。愛知県、名古屋市、豊田市 井藤行政書士事務所

 一人で起業するか、二人以上で起業するか

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会社設立、独立、起業、開業と新会社経営
第25号
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こんにちは。行政書士の井藤です。
メールマガジンを御購読頂きましてありがとうございます。
当マガジンでは、「将来の独立、開業、起業を考えている方」、「既に起業準備に入っている方」、「起業後まだ日が浅い方」、「新規事業を考えている方」、その他、「起業と経営に興味のお持ちの方」を対象に、起業や会社経営に役立つ、実践的情報を発信して行くことを目標としています。
今回は、「一人で起業するか、二人以上で起業するか」と題して、一人で起業する場合と二人で起業する場合のメリット、デメリットを法的側面も含めて検討したいと思います。

◇第25号のメニューはこちらです
(1)一人で起業するか、二人以上で起業するか
(2)編集後記
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(1)一人で起業するか、二人以上で起業するか
■起業メンバーを考える
 
経営の4要素は、「人(組織)、モノ(事業内容)、金(資金)、情報(管理体制)」と言いますが、
起業においても、この4要素をどうするか考えて行くことが大切です。
今回は、起業における人(組織)の部分を考えてみたいと思います。
事業を営むにおいては、客先、取引先、従業員、外注先等々。複数の人とのかかわりがどんな事業でも大切です。
自ら起業する際に、経営主体となるメンバーとその他の形(お客さん、取引先、従業員、社外協力者等)で協力を仰ぐ、人々を考えることは、起業における最初の組織編成を考えることでもあります。
同時に、起業メンバーを考える際、一人で起業するのか、二人以上で起業するのかによって、
起業の性格が大きく異なって来ることを理解しておく必要があります。

■一人で起業すること、二人以上で起業することのメリットとデメ リット
 
一人で起業することのメリットは、何でも自分で決められること自分の思い通りのことができること。 デメリットは、一人の限界でしょうか。
一方、二人以上で起業する場合のメリットは、ひとりではできないことも二人以上の能力によって可能となるかも知れないことでしょうか。
デメリットは、意見の対立、行動の不一致、足の引っ張り合い。
既存の中小企業から頂く相談の多くに、創業時メンバー間の確執や裏切り、いざこざに由来するトラブルがあります。

■一人起業とは
一人起業の典型的な形が、文字通り「個人事業主」です。
個人の能力や店舗、特別なサービスやモノ等に依存する事業であれば、個人事業で始めるのが最適かも知れません。
一方、一人起業であっても、株式会社を設立することも可能です。
企業間取引等で信用が大切な事業、資本や融資が必要な事業、従業員を雇う事業などでは、当初から会社を設立した方が良いかも知れません。
起業時メンバーを考えるとき、会社であれば、1)株主構成 と 2)役員構成 を考えることとなります。
現在の会社法では、株主1人、取締役1人で会社設立が可能です。

■二人以上で起業とは
2人以上で起業する際には、上述の会社の 1)株主構成 と 2)役員構成 を具体的に考えて行くことが大切になります。

1)株主構成を考える

株主構成を考える際には、(a)誰が株主となるか と(b)誰がどれだけ出資するかの問題があります。
旧商法では、会社設立の際、有限会社なら300万円以上、株式会社なら1000万円以上と言う最低資本制度があった為に、
「自分の出資だけでは不足する資本を他者に出してもらう」為の株主が存在しました。
しかし、現行の会社法では、最低資本制度が撤廃されたため、このような形式的な面からの株主の必要性はなくなりました。
とは言え、事業を実際に行うにあたって必要な資本金を自分一人で用意できなければ、事業を断念するか他者に協力を仰ぐしかありません。
その際、株主となってもらうことが一般的でしょう。
かくして、株主が2人以上になったとき、会社の意思の最高決定機関である「株主総会」の意義が出てきます。
「株主総会」では、原則、議決権のある株式の過半数で、会社の意思を決定をすることができます。
しかし、特別決議と言って、重大な決定では、議決権のある株式の2/3以上の賛成が必要となります。
従って、自ら経営権を握るためには、資本金の2/3以上は、自身が出資するような株主構成にする必要があります。
なお、「経営には興味なく、純粋な資金的な援助で株主になって頂く」方に対しては、「議決権のない株式」を発行させて頂く方法もあります。
そうすれば、自身の出資比率は2/3あるいは過半数を下回っても、議決権のある株式の2/3及び過半数を上回り、経営権は自らが握ることができ、重要な決定をする際に、株主の承諾を得る作業が不要となります。

 
2)役員構成を考える

自ら経営に参加する株主は、当然、会社の役員に就任することになるでしょう。
会社の役員を選任するのは「株主総会」の権限であり、上記の議決権に基づき、役員を誰にするかを決めることができます。
株主自らが役員になっても良いし、株主が指名するものが役員になることもできます。
役員構成を考えるにあたっては、以下の項目が問題となります。
(a)役員の種類と人数
(b)代表権の有無
(c)取締役会の設置、取締役会の非設置

(a)役員の種類と人数
中小企業の役員と言えば、取締役と監査役が一般的です。
監査役を置くか否かは、通常の中小企業であれば任意です。 一方、取締役は、必ず1名以上置かなければなりません。
取締役の役職(社長、副社長、専務、常務等)は、法律で決まっているものではありませんので、会社で任意に決めることができます。

(b)代表権の有無 
代表権とは、法人である会社を代表する権利のことです。
会社の代表権のある者の対外的行為は、会社の行為として法律的意味を持ちます。
例えば登記を行う為には、代表権のある取締役の登録印が必要となります。
取締役会を置かない会社では、原則、すべての取締役に代表権がありますが、取締役の互選により代表取締役を選定することもできます。
取締役会を置く会社では、取締役会にて、取締役の中から代表取締役を選定します。

(c)取締役会の設置、取締役会の非設置
取締役を3名以上置く会社では、取締役会を設置することができます。 取締役会を設置することのメリットは、取締役会を設置しない会社では株主総会で議決しなければならないことの一部を取締役会で決定できることです。
取締役=株主の会社であっては、取締役会=株主総会ですので、取締役会を置く意味はないでしょう。
しかし、社外の方に株主になっていただいているような会社では、取締役会で機動的に物事を決めることができることは意味を持ちます。


(2)編集後記

今回は、起業時の人の問題について考えました。
安易に起業して後で、大きなトラブルとなるのが人の問題です。
一人で起業するのと二人以上で起業するのとでは大きな意味の違いが生じます。
さらに、二人以上で起業する場合は、法的な意味も考えながら、機関設計(会社の組織を決めること)を行う必要があります。

最後になりましたが、皆様の、ビジネス、健康、生活が豊かなものとなりますことを祈っております。

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発行元  行政書士井藤事務所  井藤真生
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〒471-0063  愛知県豊田市京町3−111−1
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