「共同経営契約書」とは
「共同経営契約書」とは、いっしょに共同経営を考えようとしているパートナー同士が、
共同経営を初めるにあたっての互いの意思を確認するとともに、
共同経営開始後の経営の仕方に関する方法を決めるものです。
共同経営をいっしょに行うパートナーとは、元々、互いに能力を認め合った、
良き人間関係があるものと推察されますが、それでも、嫌、それだからこそ、
共同経営のあり方について、互いに話し合い、
「共同経営契約書」として文書にしておくことが大切です。
共同経営契約書作成における重要事項
検索エンジンで「共同経営契約書」を検索すると、
「共同経営契約書」の多くのひな形を見つけることができます。
「共同経営契約書」のひな形は、何を決めなければならないかを考える上での参考にはなります。
しかし、もっと大切なことは、互いに腹を割って話し合い、互いの意思の確認を行うことです。
互いの意思が全く同じである必要はありません。
違いがあるからこそ共同で経営する意味があるものです。
大切なのは、互いの意思の違いを互いに認め尊重し合い、
その上で、どのように決めごとを行なっていくかのルール作りをすることです。
ここで、妥協したり、論争を避けることを目指すべきではありません。
共同経営を行うにあたって、致命的な不一致があるのであれば、
共同経営が上手くいかないことが目に見えていますので、
むしろ、それが明らかになったことを喜び共同経営を諦めるべきだからです。
以下では、共同経営契約書を作成する上での重要事項を列記します。
1)共同経営の事業の目的を明らかにしよう
「何の為に事業をするのか?」共同経営の目的を明確にしよう。
共同経営における一番大切なポイントです。
どこからの文書を写すのではなく、自分たちで、本当に話し合い、納得しあうことが大切です。
2)共同経営事業から得られる利益の分配や、
事業に伴う損失の負担方法に関する取り決めを明らかにしよう
共同経営開始にあたっての出資の負担割合は誰もが決めるでしょうが、
利益の分配や損失の負担方法に関するルールの明確化が大切です。
会社の場合の株式比率、個人事業の場合も出資比率で考えるのが、
ひとつの妥当な方法ですが、
互いに行う労務出資(労働時間と内容)をどのように評価するのかのルール決めが大切です。
と言うのは、共同経営においては、出資割合の問題以上に、
実際にどんな働きをしたのか?労働時間や貢献度などの問題でもめることが多いからです。
3)共同経営を行う組織形態とその運営方法
会社を設立するのか、任意団体のような個人事業で行うのか。
会社の場合は、設立手続の為に、会社組織運営のルールである定款を作成することが
自ずと必要になりますが、個人事業の場合も、任意団体の規約のようなルールを
作成することが大切です。
4)共同事業の期間や中途解約、精算の方法
共同経営契約の期間を定め、ある一定期間ごとに見直しを行う。
ルールもあり得るでしょう。
何れにしても、どちらか一方(あるいは両方)が、共同経営を辞めたいと思った時に、
どのようにしたら離脱できるのか?離脱する際の精算方法はどのようにするのか?
金銭問題とそれ以外の秘密情報問題などの精算方法をあらかじめ設けておくことが大切です。
共同経営契約書の作成の仕方(個人事業を前提として)
当事務所が推奨する「共同経営契約書」の条項名を紹介します。
起業時にこのような取り決めを行うことは厄介に感じるかもしれませんが、「共同経営契約書」の内容を決めるという目的をもって、話し合うことに大きな意義があるのです。
どのような事業であっても、起業後も共同経営者同士のコミュニケーションが大切ですので、そのトレーニングを起業時から行っておくことには大きな意義があります。
以下は、当事務所へ「共同契約書」の作成をご依頼頂いた場合の、標準的な条項名(決める項目)です。実際には、お客様の業態や状況、共同経営者間の関係やお客様の要望事項や懸念事項などを考慮して、個別に起案させて頂きます。
(契約の目的)前文
第1章 総則
(名称)第1条
事業の名称や屋号などを定めます。
(事業の目的)第2条
何のために事業を行うのか、事業の目的を明記します。
(共同経営者同士の意思の一致をさせます。)
(事業の内容)第3条
具体的に行う事業の内容を列記します。
(将来やるかもしれないものまで含めて可です。)
(事業の所在地)第4条
対外的な住所、所在地です。
(それぞれ別のオフィスにすることも可です。)
(契約期間)第5条
本契約書の期間を定め、期間経過後は見直しを行うことにします。
第2章 出資
(出資者及びその内容)第6条
共同経営者それぞれの氏名、住所と出資内容(金額と現物出資がある場合はそのもの)
第3章 運営と責任
(業務執行の決定方法)第7条
意思決定の方法を明確化しておきます。
(例:全員一致ですること、各人が決定すること等)
(業務の分担内容)第8条
誰が何に責任と権限を持つのかを明確化します。
(秘密保持)第9条
業務上の守秘義務規定です。
(競合避止義務)第10条
共同経営と利害が対立するような行為の禁止規定です。
(会議)第11条
どのような会議をいつするかを明確化します。
(報告・連絡)第12条
共同経営者同士の報告・連絡のルールを明確化します。
第4章 計算等
(事業財産の所有権の帰属)第13条
共有財産に関するルールです。
(利益配分)第14条
利益の分配の仕方に関する取り決めです。
出資比率や貢献度合いに応じて分配する方法を決めます。
(費用)第15条
共通費用の使い方に関する取り決めです。
(会計)第16条
会計は誰がどのように行い、どのように報告するかを明確化します。
(持分処分の禁止)第17条
事業に支障を来すような個人の持分の処分に制限を加えます。
第5章 解除及び清算
(契約の解除)第18条
共同経営者が契約を辞める時のルールです。
(清算)第19条
契約を辞める場合や契約が終了した場合の清算のルールです。
第6章 附則
(本契約の変更)第20条
本契約の変更の仕方のルールです。
(協議)第21条
問題はまず協議で解決するルールを明確化します。
(合意管轄)第22条
万が一の場合の管轄裁判所を規定します。
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