取引基本契約書とは
基本契約書と個別契約
取引基本契約書とは、継続的な取引や繰り返し取引が想定される相手に対して、取引の都度、契約内容を決めるのではなく、あらかじめ基本事項(取引基本契約)を決めておくための契約書です。 あらかじめ定めておいた取引基本契約に対して、実際の個別の取引のことを個別契約と言います。 取引基本契約書を定めた場合は、個別契約は、定型の注文書や注文請書等で効率的に行うのが一般的です。取引基本契約書+個別契約文書(注文書等)で、セットで考えることが大切です。
取引基本契約書の種類
取引基本契約書は、その基本となる契約の内容によって、様々な名称で呼ばれます。いずれの名称であっても、個別契約に対する基本契約の意味合いを持っていることが特徴です。
(1)取引基本契約書、継続的取引基本契約書
取引基本契約書の最も一般的な名称です。○○取引契約書(例:売買、製造委託、工事、サービス・・・)と具体的な取引の名前を入れる場合もあります。
(2)販売取引基本契約書、委託(受託)取引基本契約書
物品の売買取引の基本契約書とサービスなどの業務委託取引の基本契約書です。
(3)外注取引基本契約書
委託取引のうち特に外注取引に特定した取引基本契約書です。
(4)その他の名称で呼ばれる基本規約書
代理店契約書、販売店契約書、特約店契約書、業務委託契約書、フランチャイズ契約書、OEM契約書等など。名称のいかんを問わず様々な取引基本契約を定めた契約書があります。
取引基本契約書と印紙税
印紙税法上、取引基本契約書は、
「継続的取引の基本となる契約書」に該当する場合が一般的です。
※印紙税に関する詳細は国税庁のHPを参照ください。
取引基本契約書の作成
取引基本契約書の作成上の重要事項「運用とセットで」
取引基本契約書は自社の取引の基本となる契約書ですので、極めて重要な契約書です。取引基本契約書を作成する場合は、法律的に適正であると同時に、実際にその通りに運用がされ、その内容が自社の実務に沿ったものであることが大切です。
(1)自社の取引に共通の項目(独自の部分が大切)を網羅することが大切
(2)自社の取引の内容に応じた法律に留意することが大切
(3)自社の実際の取引の流れに沿ったものであることが大切
※取引基本契約書の上手な運用の仕方についてはこちらのページを参照してください。
取引基本契約書の基本的な条項
販売取引基本契約書の場合の一般的な条項(例)です。
第1条(目的)
対象とする取引の範囲を明確とします。全てなのか、あるいは、除外する取引があるのかなどにより記載方法が変わります。
第2条(基本契約と個別契約の関係)
個別契約はどのように行い、基本契約と異なる内容を定めた場合の優先適用順位などを明確化します。なお、さらに、別の条項を設けて、個別契約の手順や帳票の種類などを詳細に示す場合もあります。
第3条(価格と支払い条件)
価格や支払い条件について、基本契約書上で具体的に示す場合と、ここでは決定方法のみを明示する場合があります。
第4条(検査、検収基準)
なにをもって合格納品とするかを明確とします。トラブルを避けるために大切な項目です。
第5条(所有権の移転時期)
法律的に所有権がいつ移動するのかを明確にします。
第6条(瑕疵担保責任)
納品後の不具合に関する保証期間などに関する規定です。
第7条(秘密保持)
継続的な取引を行う相手とは互いの秘密を共有するような場合も多いので、その秘密保持に関する規定です。
第8条(損害賠償)
契約違反に関しては法律上損害賠償が請求できますが、その念押しのような場合と、特に損害賠償について、法律とは異なる規定を設ける場合があります。
第9条(契約解除)
どのような場合に契約が解除できるのかのルールは大切です。
また、簡単に解除できる契約なのか、簡単には解除できない契約にするのかにより、契約の性格が大きく異なるものになります。
第10条(契約期間と更新方法)
契約の有効期間と期間満了後の更新方法について定めます。
第11条(適用法律)
どこの国の法律を適用するか。特に海外との取引では重要です。
第12条(協議)
日本人同士の契約特有と言われますが、通常協議条項を通常入れます。(海外との取引には注意が必要です。)
第13条(合意管轄)
係争裁判所に関する取り決めです。平等にする為にはあえて入れない場合もあります。
取引基本契約書のチェックポイント
相手側から提示された契約書のチェック
取引基本契約書は、取引の内容を網羅した契約書ですので、
(1)書いてあることが、自社の取引において支障がないか
(2)書いてないことで、重要な事項が落ちていないか
(3)意味のわからない条項がないか
のチェックが重要です。
特に注意したいチェックポイント
契約の個別の内容(取引条件、検収条件、瑕疵担保条件)が、納得できる内容であるかを個々にチェックすることは大切ですが、もう一方で、契約の包括的な内容(対象、期間、更新方法、解除条件など)につき問題ないかをチェックすることが大切です。とりわけ、後者の部分がおざなりになりがちなので注意しましょう。
当事務所の取組姿勢「取引基本契約書」編
取引基本契約書は自社の取引の要となるような重要な契約文書です。自社の取引に関する法律面(民法や商法などの基本的な法律に加え、○○業法、独占禁止法、下請法等などの特別な法律にも注意。)をカバーするのは当然ですが、
自社の取引や営業に対する方針・考え方を的確に反映することが大切です。例えば、取引先との共同関係を重視した契約書、技術情報や営業情報の守秘義務や秘密管理体制の強化を重視した契約書等など。自社独自の契約書の作成をします。
また、自社の取引の全体の流れの設計や帳票の設計などのコンサルやアドバイスも可能です。
※不幸にも、相手との関係が壊れその解消の為の交渉や契約を行なうことより、取引の最初の段階で、相手との良好の関係を構築する為の契約書を作成する方が、経済的にも時間的にも有益です。もっとも、契約書面をきちんと準備するような姿勢がある事業者さまには、後でのトラブルが少ないのも事実です。 ぜひ、お気軽にご相談ください。
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