愛知県豊田市の井藤行政書士事務所 | 起業支援、会社設立、事業計画、文書、契約書、経営改善・経営革新、事業承継、経営承継。愛知

        退職時誓約書について

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会社設立、独立、起業、開業と新会社経営
第35号
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こんにちは。行政書士の井藤です。
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今回は、『退職時誓約書について』考えてみたいと思います。

◇第35号のメニューはこちらです

(1)退職時誓約書について
(2)編集後記
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(1)退職時誓約書について

■ 「退職時宣誓書」とは
会社を退職する際に、「退職時誓約書」の提出を求められる会社も多いと思われます。
会社にとって、退職時誓約書の主要な目的は、在職中に社員が職務上知りえた営業秘密の守秘義務は、
法律上、退職後にも及ぶことを誓約させる為のものです。
付随して、モノや情報の返却や引継の完了などの確認も誓約書で行う場合もあります。

■「退職時宣誓書」の例
「退職時宣誓書」の条文例を以下示します。
簡単なモノの場合、下記条文の内、第1条第2条だけの場合も多くあります。

宣誓書(例)

私は貴社を退職するにあたり以下の通り宣誓します。

第1条(秘密保持の確認)
貴社を退職するにあたり、以下に示される貴社の技術上または営業上の情報(以下秘密情報という)に関する資料等について、原本はもちろん、そのコピー及び関係資料等を貴社に返還し、自ら保有していないことを確認します。

第2条(退職後の秘密保持の誓約)
在籍中に知り得たいかなる秘密情報も発表、公開、利用することなく、退職後も守秘しますことをここに誓約します 。

第3条(競合避止義務の確認)
前条を遵守するため、貴社退職後3年間にわたり次の行為を行わないことを約束します。
1)貴社と競合関係に立つ事業所に就職したり役員に就任すること
2)貴社と競合関係に立つ事業所の提携企業に就職したり役員に就任すること
3)貴社と競合関係に立つ事業を自ら開業または設立すること

第4条(損害賠償)
前条各項に違反して、貴社の秘密情報を開示、漏えいもしくは使用した場合、法的な責任を負担するものであることを確認し、これにより貴社が被った一切の損害を賠償することを約束します。

■「退職時宣誓書」に署名・押印するように言われたがどうすべきか?
会社を辞めるとき、「誓約書」に署名・押印を求められることがあります。
できれば、円満退社にしたいでしょうから、もめることなく会社を辞めたいと言う立場からすれば、
「誓約書」に署名・押印すべきと考えるでしょう。
「嫌です」と、強く拒むと、逆にヤマシイことがあるのではないかと変に疑われ、もめたり、する嫌なリスクも感じます。
かと言って、提示された文面に納得できないような内容がある場合は、安易に応じるのも問題です。

結局最後は自己責任で、妥協点を見つけざるを得ないのでしょうが、ひとつの方法を提案します。
会社から提示された「誓約書」の文面中、不明なところは、逆に質問の文書を作り、文書で回答をもらうのが良いでしょう
(その際、あくまでもめるつもりはない。教えて欲しいと丁重な姿勢で対応するのが良いでしょう)
 ・例えば、具体的に機密とはどのようなものを言うのか?
 ・定義や例で示して欲しい。
 ・それらに関して何か社内規定があれば教えて欲しい
 ・損害賠償とは具体的にはどのような行為のことを言うのか教えて欲しい等

これらの質問文書に文書で回答をもらった上で、内容に(ある程度のところで妥協することになることが多いと思いますが)納得した上で、誓約書に応ずることにする。
また、署名・押印した誓約書のコピーは必ずもらっておくこと。
もし、何回かやりとりがあった場合は、そのプロセスを文書があれば文書を、文書がなければ、自らのメモ(○年○月○日○○に対して○○を申し入れたところ○○と口頭で回答ありとか)を記録として残しておくこと。

このようなことをする理由は、後で、書類がひとり歩きするのを防ぐ為です。
例えば、万万が一のことですが、将来、何らかの理由で意図的にあなたを何かの犯人にしたいと考えたとした場合、あなたが見たことがないような書類を証拠として、提出されることやあなたがサインした書類が改変されるリスクも0ではないからです。

それを防ぐために、上記のような文書を得た上で、署名・押印をしましょう。
また「もしなにかあったとき」には、状況も大切ですので、メモで事実を記録しておきましょう。

※書類はひとつだけを見たときは何でもないと思えるものでも、あとで、他のものが継ぎ足されることで、
飛んでもなく別の意味を持つ可能性があるので注意が必要です。

(2)編集後記
前回、『会社を辞めて起業するときに気をつけるべき法律』と題して、「競業避止義務」と「営業秘密」の問題を取り上げたところ、「退職時に秘密保持誓約書の差し入れを求めれたがどうしたら良いか?」のご質問を頂いたので、今回は「退職時宣誓書」への退職社員側からの対応方法について述べました。

現実には、各会社の状況(例えば、就職時から秘密保持管理ルールが確立されており、その一連のルールの流れの中での「誓約書」である場合、逆に、何のルールもない中で突然、負担を課すような要求である場合など)により、対応すべき方法も異なる問題だと思います。

最後になりましたが、皆様の、ビジネス、健康、生活が豊かなものとなりますことを祈っております。
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発行元  行政書士井藤事務所  井藤真生
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