起業、会社設立、事業計画書、契約書、社内規程、インターネット、法務、中小企業支援。愛知県、名古屋市、豊田市 井藤行政書士事務所

 創業時に公的資金による融資を受けたいと考えている人が、
起業に備えて準備すべきこと(その2)

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会社設立、独立、起業、開業と新会社経営
第24号
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こんにちは。行政書士の井藤です。
メールマガジンを御購読頂きましてありがとうございます。
当マガジンでは、「将来の独立、開業、起業を考えている方」、「既に起業準備に入っている方」、「起業後まだ日が浅い方」、「新規事業を考えている方」、その他、「起業と経営に興味のお持ちの方」を対象に、起業や会社経営に役立つ、実践的情報を発信して行くことを目標としています。
今回は、「創業時に公的資金による融資を受けたいと考えている人が、起業に備えて準備すべきこと(その2)」として、創業資金の一部借入を検討したい人が、「新規創業条件」や「自己資金条件」をクリアするために具体的にどんな事前準備をしなければならないのかを考えてみたいと思います。

◇第24号のメニューはこちらです
(1)創業時に公的資金による融資を受けたいと考えている人が、 起業に備えて準備すべきこと(その2)
(2)編集後記
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(1)創業時に公的資金による融資を受けたいと考えている人が、 起業に備えて準備すべきこと(その2)

■公的資金の融資申し込みには条件があり、その条件を満たす為には、事前準備が必要です。

従って、起業準備段階からこのことを知っておく必要があります。
前回は、創業時資金の一般的な借り入れ先、政府系の金融機関である日本政策金融公庫国民生活事業(国金)や、地方公共団体の政策金融を行う全国の信用保証協会のどちらの制度を利用するにしても、以下の2点の応募条件をクリアする必要があることを述べました。

1)「新規創業」の条件をクリアしていることが大切です
新規創業または新規創業後一定の期間内の事業者または会社であること

2)「自己資金」の条件をクリアしていることが大切です
融資申込み金額の1/2〜1/3の自己資金が用意されていること

今回のメールマガジンでは、上記の2つの条件を整備する為には具体的にどのような準備をしたら良いかについて、考えたいと思います。

■「新規創業」の条件をクリアする為に

新規創業とは、「今まで事業をしていなかった人が新規に事業を行うこと及び行ってから数年(3年〜5年程度)以内」を言います。
以下のような場合は該当しませんので注意が必要です。
・既に会社を経営している人が新事業を始める場合
・個人事業を長年行って来た人が新しい事業を始める場合
・事業資金(資本金)の多くを既存事業者(個人、会社)が出資している場合

自分自身がこれらの条件に抵触するかどうか微妙な場合は、できるだけ早めに、国金や信用保証協会の相談会などに参加して確認をしておいた方が良いでしょう。

また、「新規創業」の条件をクリアできないことが明らかになった場合は、公的資金による創業資金融資制度への申込はあきらめ、既存事業者向けの資金融資制度への申請を検討しなければなりません。(既存事業者向けの融資制度は、創業時の融資制度に比べ、「過去の実績」が多く問われることが大きな特徴です。

事業を一人ではなく、複数人で始めようと考えている場合は、その各人が「新規創業」の条件をクリアできるかどうかの検討も必要となります。
事業資金の一部を第三者に出資してもらう場合も同様です。

■「自己資金」の条件をクリアする為に

公的資金による融資の申請に当たっては、原則、融資金額の1/2〜1/3を自己資金で用意していることが条件となります。
「資金がないから借りたいのに、自己資金を準備しろとは」と嘆く方も多くいます。
しかし、これらの条件の意図は、「最初から資金のほとんどを融資に頼る事業を許すと、最初から返す見込みがないような事業に公的資金が使われるリスクを避ける」ための規定と思われます。
1/2〜1/3を自己資金用意できた事業者の「本気度」と「計画性」を申込みの条件としているのです。

ところで、ここで言う「自己資金」とは、会社の場合の「資本金」と似た意味ですが微妙に違います。
公的資金による融資制度における「自己資金」とは、「返さなくて良いお金」と定義されています。
例えば、会社の場合の資本金は、社長個人が誰かからお金を借りて来たお金を出資することができますが、そのような資本金は、「返さなくて良いお金」ではないので、公的資金による融資制度における「自己資金」とは認めてもらえません。
つまり、「資本金そのものをどうやって調達したか?」が問われます。
また、「資本金」には、お金に代え現物出資が認められますが、現物出資は「お金」ではないので、(よほど換金性が高い場合は例外も考えられますが)原則として「自己資金」とは認めてもらえません。 

■「見せ金」は違法です
当行政書士事務所では、創業資金の借入の御相談を受ける機会が多くありますが、「自己資金」の条件を安易な「みせ金」でクリアされようと考えておられる方が多くいらっしゃいます。
公的資金による融資制度における「自己資金」は、「返さなくて良いお金」と定義されているのは、明確に、「「みせ金」はダメですよ」と言っているのと同じ意味です。
従って、「自己資金」が「返さなくてよいお金」か「みせ金」かについては、厳しく審査されると考えた方が良いでしょう。
具体的には、自己資金が振り込まれた通帳、その通帳へ振り込んだ元の通帳、その振込元・・・と、「返さなくてよいお金」であることが立証されるまで調査されると考えておいた方が良いでしょう。
例えば、ある日突然「多額の現金が入金された通帳」は、「いかにも怪しい資金」と疑われてしまうことでしょう。
(このような怪しい資金は怪しくないことが証明されない限り「自己資金」とは認めてもらえないと考えた方が良いでしょう。)

■創業資金用通帳を準備しましょう

上記の「いかにも怪しい資金」とは正反対なのが、例えば、毎月給与や賞与が振り込まれる通帳から、数年間、コツコツコツコツと将来の創業用資金を振り込んだ通帳です。
このような通帳を見ただけで、本人の「やる気」と「計画性」が伝わり、融資申込みの50%は成功したのも同じです。
「将来創業することを思い立ったら、創業資金用通帳を作りましょう。」この通帳に、将来の創業資金を積み立てるだけではなく、創業の為の勉強、情報収集等に使った費用もこの通帳から払い出し「創業準備のプロセスを通帳に記述」させましょう。
このような通帳は、自身の創業計画を鼓舞する材料となるでしょう。
同時に、創業後の計画的な経営のトレーニングになります。
さらに、そのような数年間に渡るプロセスを金融機関の担当者に見せることは、あわてて数か月で立派な事業計画書を作った人が、後で、どんなにお金をかけても真似ることができない、「素晴らしいPR」になるのです。

(2)編集後記

今回は、創業時に公的資金の融資を検討される方を対象に、事業の計画段階からすべきことをお伝えしました。
当事務所では、創業資金の御相談を受ける機会が多くありますが、半数以上の案件は残念ながら「借入は難しい」と判断しお断りしております。(他の行政書士業務では、ほぼ8割以上お受けできるのに、借入はそれだけ難しいのかと悩んだことがございました。)
お断りする理由は、「あまりにも準備不足で条件を整えていない」ことがほとんどです。
多くのお客様が、立派な事業計画を立てておられるにもかかわらず、資金の計画は全く立てていないか、全く甘い計画の例が多くあります。
さらに本文でも述べたような安易な「みせ金」を企てる方の多さにもびっくりします。
また、日本政策金融公庫国民生活事業(国金)や信用保証協会の担当者は、この2点について厳しくチェックを行いますので、安易な方法でチェックを免れる方法はないと考えた方が良いでしょう。
せっかくの起業。上手く行うために、計画的な準備のチェック項目のひとつに今回取り上げた内容を追加して頂くことをお薦めします。
最後になりましたが、皆様の、ビジネス、健康、生活が豊かなものとなりますことを祈っております。

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発行元  行政書士井藤事務所  井藤真生
事務所e-mail    gyosei@fullstage.jp
事務所HP  http://www.itoh.fullstage.biz/
〒471-0063  愛知県豊田市京町3−111−1
※ご意見・ご感想等は gyosei@fullstage.jp  まで、お気軽にお寄せください。

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